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高校生直木賞
第1回に選ばれたのは、伊東潤『巨鯨の海』

「オール讀物」2014年7月号より

武田 昇|「オール讀物」編集長

若者たちはどう読み解いたのか

 去る5月5日、GWの中日に、全国4都県から高校生が我が社に集まり、第1回高校生直木賞の議論が行なわれた。

 この企画は、フランスの高校生ゴンクール賞に倣ったもの。高校生ゴンクール賞は読書教育の一環として四半世紀以上にわたり続いているもので、毎年、2000人を超える高校生たちが、権威あるゴンクール賞候補作から独自に1作を選び出している。それはときに本家のゴンクール賞受賞作を凌ぐ話題作になることもあるという。

 今回参加したのは、岩手県立盛岡第四高校、東京の私立麻布高校、静岡県立磐田南高校、福岡の私立筑紫女学園高校の4校。予選として、北の2校が第149回直木賞の候補作から、南の2校が第150回直木賞の候補作から、各校それぞれ2作を選出。重なる作品もあったため、結果的に以下の計6作品について討議をしてもらうこととなった。

伊東潤『巨鯨の海』
原田マハ『ジヴェルニーの食卓』
湊かなえ『望郷』
朝井まかて『恋歌』
伊東潤『王になろうとした男』
千早茜『あとかた』

 各校から代表者が2名ずつ選ばれ、計8名で行なわれた座談会は非常に白熱したものに。長時間にわたり議論を重ね、最終的に票を集めた『巨鯨の海』と『ジヴェルニーの食卓』の一騎打ちとなり、最後は僅差で『巨鯨の海』が選ばれた。

 予想外とも言える時代小説作品に決まったが、もっともそれは大人の勝手な憶測に過ぎなかったのだろう。出された意見の数々は、高校生らしい若い感性による読み方はもちろん、大人顔負けの議論も繰り広げられた。終わってから、参加してくれた高校生たちに話を聞いてみて、普段は手に取らない本を読む機会となったこと、また、読んだ本について仲間といろいろ話し合う時間を持てたことに対する充実感を感じているようだった。

 企画の立ち上げから協力していただき、今回も参加いただいた明治大学文学部准教授の伊藤氏貴さんによれば、高校生ゴンクール賞はフランスでの若者の読書離れを危惧したことから始まった試み。今回、日本でも同様のことを思い、行なってみたこの取り組みを来年以降も続けていきたいと考えている。

 詳しい座談会の模様と、筆者の伊東潤さんへのインタビューをオール讀物7月号(特集「おいしい読書」)に掲載していますので、是非読んでみてください。

文:武田 昇(「オール讀物」編集長)

オール讀物 7月号

特別定価:1000円(税込) 発売日:2014年6月21日

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