インタビュー・対談
『さよならの手口』 (若竹七海 著)

最高にタフな女探偵・葉村晶がパワーアップして還ってきた!

『さよならの手口』 (若竹七海 著)

聞き手「本の話」編集部 

――『さよならの手口』では、晶はすでに40代。調査の仕事をしばらく休んでいてミステリ書店でアルバイトをしています。

 昨年、『暗い越流』という短編で日本推理作家協会賞をいただき、短編集を刊行することになって、葉村晶もので『道楽者の金庫』という短編を書いたんです。そこでミステリ古書店のバイトという設定が出てきて、古本屋をやりながら探偵をするというのは面白いと。自分に近い40代の晶が、体力も落ちてきたけれど歳を経たなりに頑張っている姿を書こうと思いました。そして、晶の個人的なことはあまり書かないようにしようと割り切りました。考えてみると、自分がそういう探偵の私生活が出てくるミステリがあまり好きではないんですよね。

――メインの謎となるのは、元スター女優の20年前に失踪した娘探しですが、冒頭から晶がある謎を解決する手がかりを示し、その後も次々に様々なトラブルや謎が発生し、解決されるという実に贅沢な長編になっています。

 たくさんの中編と短編が絡まりあったような長編ですよね。葉村晶シリーズにおいては、まず彼女の身にいくつかの事件が起きた方が面白い。調査員といえば人探しだし、古書店で働くことで派生する〈本の探偵〉としてのエピソード、人間関係でいつも傷を負う彼女に欠かせない新しい友人関係、と全部の設定がうまく転がりました。

 とことん真実を追求する葉村晶は決してへこまない。相変わらずひどい目に合いまくるのですが、本人の乾いたトーンの一人称フィルターを通すと、あまり可哀想な感じにならない。〈いろいろあるよね〉と状況をすべて受け入れているのが、40代という年齢の効用かもしれません。ずいぶん間があいてしまいましたが、「葉村晶の続編は?」と気にしてくれる読者の方が作者の予想以上に大勢いて驚きました。次はこんなにお待たせしないようにしますので、まずは『さよならの手口』をお楽しみください。

さよならの手口
若竹七海・著

定価:本体800円+税 発売日:2014年11月07日

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