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「好きな東大卒小説家は?」アンケート結果詳報!
夏目漱石が圧倒的に支持された3つの理由

 同じ授業を受けてもノートの取り方は千差万別。ノートには個性が表れます。アンケート「ノートを借りてみたい東大卒小説家は?」で「好きな東大卒小説家は?」という設問に対しても、1014人もの回答を得ることが出来ました。
 このアンケートは、『東大合格生の秘密の「勝負ノート」』発売にあたり、ノート学習の重要性を訴求することを共同の目的として、株式会社文藝春秋と教育出版社の株式会社旺文社がコラボして行なっている、~あなたのノートは美しい!?~“「勝負ノート」で目指せ合格!”コラボキャンペーンの一環です。

好きな東大卒小説家 ベスト10は?

 まずは、ベスト10を発表します。

1位 夏目漱石 289票
2位 芥川龍之介 171票
3位 星新一 119票
4位 森鴎外 45票
5位 三島由紀夫 40票
6位 中島敦 35票
7位 川端康成 34票
8位 安部公房 28票
9位 坪内逍遥 21票
10位 東浩紀 14票
 

第1位 夏目漱石 『吾輩は猫である』『こころ』幅広い作風

夏目漱石は1893年に帝国大学(後の東京帝国大学)英文科を卒業。

「ノートを借りてみたい東大卒小説家」に続き、「好きな東大卒小説家」としても、漱石は圧倒的な1位でした。

「私の中では別格です」(50歳/会社員/女性)

 という方は多かったようです。

 理由の第1として考えられるのが、多様な作品群。ユーモラスな作品から深い人間心理の考察まで、幅広い読者を掴んでいました。

「そりゃもう、『吾輩は猫である』が最高だから!」(37歳/主婦・主夫/女性)
「初めて読んだ文学作品が『吾輩は猫である』で、想像していたより軽いテンポで読めてハマってしまったから」(17歳/高校生/女性)
「やっぱり『こころ』が好きです。人の心の弱さは、どの時代でも変わらないんだなと、学生時代に感銘を受けた1冊です」(25歳/会社員/女性)
「『こころ』を読んで感銘を受けた。一人がたりのように物語は書かれているのに情景が鮮明に思い浮かべられる表現、美麗な日本語を書く人だな、と文章から知識の高さはもとより洗練された人柄が伝わってくるようだった。読み易いのに心に刺さる物語を書く漱石は尊敬する小説家の一人だからである」(20歳/その他学生/女性)
「授業でやった、『夢十夜』がものすごく自分にびびっときたから。本当に夏目漱石はすごい」(16歳/高校生/女性)
「愛の形の描き方が好きだから。特に、『夢十夜』の第一夜に痺れた。『こころ』の「私」から「先生」への思いもそうであるが、どこまでもまっすぐな純粋さがあって、その純粋さにとらわれるようにして夢中になって読み進めてしまう」(16歳/高校生/女性)

 また、世代や年代を超えて読み続けられている作家でもあります。

「昔の人の本だけど、今読んでもちゃんと理解できるし、とてもためになるからです」(17歳/高校生/女性)
「小学生のときから夏目漱石に触れる機会が多くあったが、小学生でも理解して読める文面、そして歳を経て様々な知識を持つと共に夏目漱石の深みを味わうことができる作家であったため、思い入れが強いから」(20歳/その他学生/男性)
「作風が人生を重ねると共に変わって行き、自分自身の人生と重ね合わせて読むと様々なことを考えさせてくれる点です」(41歳/会社員/男性)
「父があまりに好いていて、私は避けてきました。父が亡くなって、今は息子と読んでいます。もっと昔読んでいれば、一緒に語ることもあったろうかと思い、漱石先生を選びます」(40歳/主婦・主夫/女性)

 近代日本の入口に立って西洋的価値観に向きあった文学者という点も多くの共感につながっているようです。

「小学生の時に読んだ『吾輩は猫である』を高校生になってからよみなおすと、明治の人々の文化や、西洋への意識など新しい発見があり、奥が深いと感じたから」(17歳/高校生/男性)
「漱石から『現代日本語』が始まった、といってよいだろう。もうひとつあげるなら、シリアスとユーモアが混交し、純文学とエンタメを架橋するその『ことば』の力に惚れている」(53歳/自営業/男性)
「漱石の小説は、近代合理主義が、彼の作品に多くの影響を与え、先駆的だから」(56歳/自営業/男性)
「一人と言われると、本当は困るのですが、あえて、漱石にしました。最近はすっかり読書量も減りましたが、その中で、時間をかけて『草枕』を読みました。そこに、この作家の本領というか、ユーモアの中に溶け込んだ、素晴らしい本質を見抜く鋭い批評眼を見出して、うなったものです。やはり、日本近代文学は、漱石なくして語れないなぁ、何度読んでも味わい深いなぁ、と、痛感したのです」(48歳/その他/女性) 

第2位 芥川龍之介 人の道徳心や自尊心を見つめた作家

芥川龍之介は1916年(大正5年)に東京帝国大学英文科を卒業。

 第2位は芥川龍之介。芥川龍之介といえば、「今昔物語」などの古典や仏教説話に材を取ったった小説群が知られています。

「小学生の頃に読んだ『蜘蛛の糸』がちょっぴり怖くて、それでいて幻想的でなんとなく惹かれていました。それ以来、たまに芥川龍之介の作品は読んでいます!」(17歳/高校生/女性)
「人の持つ道徳心や自尊心などよく見ているところが好きです。私も人のことについてもっとよく知りたいと思います」(17歳/高校生/女性)
「中学か高校のときの教科書で、初めて『羅生門』をよみました。当時の私には、文章を読んで、目の前に浮かぶ情景が、あまりにも仄暗くて、苦手かもしれないと感じました。けれど、何年経っても、芥川龍之介と『羅生門』の名前、そのシーンは消えることがありません。もしかすると、こういう好きもあるのかもしれないなと思わせてくれた作家さんだからです」(20歳/その他/女性)
「童話的とさえとれる優しく分かり易い文面に生きる苦悩が隠れている。是非天命を全うして書ききって欲しかった」(48歳/主婦・主夫/女性)

 今回特徴的だったのは、芥川龍之介に投じられた171票のうち89票(52.1%)が10代の読者だったことです。人間の倫理や自己のアイデンティティに関して多感な時期にこれらの作品に出会うことが、より深い印象につながるのかも知れません。もちろん、小説の手腕が際立っていることも理由のひとつです。

「文章の構成や言葉に引き込まれる」(40歳/主婦・主夫/女性)
「短編(掌編)が特に秀でていると思うからです」(26歳/自営業/男性)
「『蜜柑』という作品を読んだ時、文字を読んで頭の中に映像が浮かぶという経験をしました。小説のすばらしさを教えてくれたのは芥川さんの作品ですので」(38歳/会社員/女性) 

第3位 星新一 軽快さの中にひそむ棘

星新一は1948年(昭和23年)に東京大学農学部を卒業。

 日本のショートショートの代名詞とも言える星新一は幅広い世代の支持を得ていました。

「SFが好きになったすべての始まりだから」(26歳/主婦・主夫/女性)
「色々なストレスで疲れた時、星新一さんのショートショートで救われました」(60歳以上/会社員/男性)
「小学生のときから大学生の頃まで、星さんのショートショートにはまっていました。面白さが常に変わらず、1000編以上を創りだすなんて、努力の人だと思います」(32歳/その他/女性)
「愛読者です。ちょっとした時間にさらっと読める利点もさることながら、あっという間に独特の世界観で完結する話が気持ちいいです。ただ問いかけてくるようなものも多く考えさせられます」(40歳/会社員/女性)

 軽快な面白さだけではありません。現代社会に通底する問題についての棘が含まれているところも、魅力のひとつでしょう。

「思いつかない世界に連れて行かれるが、後には身近な教訓めいたものが残るところ。押し付けがましくないところ」(39歳/会社員/女性)
「ニュースを見たり、自身で何か体験したときにふと『あ、これ星さんの話で似たようなのあったな』と思い出すことが多く、物事の本質を捉えて抽象化することに恐ろしく長けているなぁと思うから」(23歳/その他学生/女性)
「中学・高校時代に愛読してました。死刑囚が星送りにされて、水を飲むためにボタンを押さなければならないが、何回目かに爆発する。でもそれが何万回後に起こるかはわからない。それは現実と一緒ではないかという話が忘れられません」(54歳/会社員/女性)
「ファンタジックな文章だけど、ブラックなユーモアも含んでいる。コメディであり、ミステリーでもあり、ホラーっぽくもあるSF。つまり、どのジャンルにも属さない、星新一というジャンルを確立しているから」(17歳/高校生/女性) 

第4位 森鴎外 簡潔で無駄のない文章

 第4位は森鴎外。

森鴎外は1881年(明治14年)に(旧)東京大学医学部を卒業。

「中学生のときに読んだ『高瀬舟』に、現代社会にも通ずるものを感じたからです。殺人は絶対にダメだと誰もが分かっていますが、病気や怪我でひどく苦しむ家族をみたら、生き地獄から救ってやりたいと思うのは普通だと思います。それが現代でも昔でも変わらないんだなあと思うと、なんだかもや~っと切なくなりました。このもや~っと感がたまらないです。だから、好きです!」(17歳/高校生/女性)
「『舞姫』が、非常に面白かった。豊太郎とエリスの話、実は現代にも通じるところがある気がする」(17歳/高校生/女性)
「一文が簡潔ながらもリズミカル。無駄な修飾語句を用いずとも読者に伝えたいことを想像させる筆力。理想形である」(21歳/その他学生/男性)

 実は、森鴎外を挙げた読者のコメントにも、要を得て簡潔なものが多く見受けられました。

【次ページ】怖いけれど読んでしまう作家とは?

東大合格生の秘密の「勝負ノート」
太田あや・著

定価:本体1,200円+税 発売日:2015年02月27日

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