オール讀物・担当編集者は語る

故・井上ひさしさんの幻の戯曲原稿発掘!

プロフィール

おーるよみもの/創刊以来、常にエンターテインメント小説の最前線を追いかけ続けてきた小説雑誌です。年に2度、全国の小説ファンが注目する直木賞も本誌で発表されます。戦前の「銭形平次」をはじめとして、池波正太郎さんの「鬼平犯科帳」、今現在では平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」を代表とする数多くの人気シリーズほか、大家も期待の若手作家も、時代小説も現代小説も推理小説も、今の小説界がここに盛り込まれている、と断言できます。また、旅行、食べ物、教養、人物評伝など「讀物」も満載、活字における娯楽の愉しみを今後も追求していきます。

2010年4月9日に逝去、まもなく七回忌を迎える井上ひさしさんが学生時代に翻訳した、未発表の戯曲原稿が発見された。約90枚の草稿全文が誌面に掲載されるまで――。

「亡くなられた井上ひさしさんの学生時代の未発表原稿が発見されたんだよ」

「それはいったいどういう経緯で? どんな作品なんですか?」

「作家の出久根達郎さんが古書市場に出ていたのをSさん(元編集者)に知らせ、そこからご家族の手元に戻ってきたんだけど、どうやらフランスの戯曲らしいんだ」

未発表原稿「讃血亞護(サンチアゴ)騎士団長」
きちんと製本をされた本書の表紙

 そんな編集部での会話を経て、現物を見せていただくために鎌倉のご自宅へ伺ったのは2月末。冷たい雨が降りしきる中でしたが、井上さんの代表作にちなんだ『吉里吉里忌』(4月9日~10日/山形県川西町フレンドリープラザにて開催)の準備もあり、旧知の編集者が十数名集まりました。

井上ひさしさん。『手鎖心中』で直木賞受賞の頃。昭和47年撮影

 遅筆で知られた井上さんの原稿を直に受け取っていた面々は、口々に感想を漏らします。

「僕の知っているひさしさんの文字とは、少し違うような気がするんだけど?」

「いやいや、この書き込みのやり方なんかはひさしさんにそっくりだよ」

 きちんと製本された『讃血亞護騎士団長』というこの一冊は、いつ頃、何の目的で、何より若き日の井上ひさしさんによって訳された本物なのだろうか……。

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オール讀物 2016年4月号

定価:980円(税込) 発売日:2016年3月22日

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