オール讀物・担当編集者は語る

「最近の若い者は」などという常套句を寄せ付けない。頼もしいぞ、高校生! 第3回高校生直木賞レポート

プロフィール

おーるよみもの/創刊以来、常にエンターテインメント小説の最前線を追いかけ続けてきた小説雑誌です。年に2度、全国の小説ファンが注目する直木賞も本誌で発表されます。戦前の「銭形平次」をはじめとして、池波正太郎さんの「鬼平犯科帳」、今現在では平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」を代表とする数多くの人気シリーズほか、大家も期待の若手作家も、時代小説も現代小説も推理小説も、今の小説界がここに盛り込まれている、と断言できます。また、旅行、食べ物、教養、人物評伝など「讀物」も満載、活字における娯楽の愉しみを今後も追求していきます。

 議論の席についた高校生たちは最初こそ緊張していて初々しかったのですが、それも束の間。こちらの心配をよそに、隅々まで響き渡る声のボリュームと歯に一枚たりとも衣を着せぬ物言いで、会場はどんどん熱を帯びていきます。かなり意見が割れたものの、3時間半の激論の末、受賞作は『ナイルパーチの女子会』に決定! 議論終了後には急遽、著者の柚木麻子さんと高校生が電話で直接会話するというサプライズもあり、大盛り上がりのうちに第3回大会は幕を下ろしました。

白熱する議論の中、笑いも絶えず

 高校生直木賞のおもしろさの一つは、どのような小説が受賞にふさわしいかの基準を高校生たち自身が考え、議論を通して固めていくプロセスにあります。『ナイルパーチの女子会』については、「心が抉られすぎてつらい。友人に薦められるかという観点でいうと×をつけざるをえない」という意見も多く出た一方で、「我が校では“人生に影響するか”というコンセプトで選考し、全員が本作に〇をつけた。現代のネット社会では、高校生がブログやツイッターで自分の日常を発信できる。そのキラキラした部分だけを抜粋して他人から『いいね』をもらえる肯定感を無意識に欲しているのではないか、と考えさせられた」という声も。物語から受けた衝撃を前向きに捉える流れが次第に生まれ、受賞決定に至りました。

 高校生たちが自分のことばで意見を述べあう雄姿には、「最近の若い者は」などという常套句を寄せ付けない凛々しさが満ち満ちていました。頼もしいぞ、高校生!

 若いエネルギーにあてられて、傍聴した我々も心地よい疲労感に包まれたのでした。

 選考会の詳しい模様と柚木さんの記念インタビューは6月22日発売のオール讀物7月号に掲載します。是非そちらもご覧ください。

受賞作を手にそれぞれの思いを述べる高校生たち

第3回高校生直木賞
http://koukouseinaoki.com/

ナイルパーチの女子会
柚木麻子・著

定価:本体1,500円+税 発売日:2015年03月28日

詳しい内容はこちら

オール讀物 2016年7月号

定価:980円(税込) 発売日:2016年06月22日

詳しい内容はこちら

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