オール讀物・担当編集者は語る

直木賞を受賞の荻原浩さんが愛情を注ぐ「野菜」と「阪神タイガース」

プロフィール

おーるよみもの/創刊以来、常にエンターテインメント小説の最前線を追いかけ続けてきた小説雑誌です。年に2度、全国の小説ファンが注目する直木賞も本誌で発表されます。戦前の「銭形平次」をはじめとして、池波正太郎さんの「鬼平犯科帳」、今現在では平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」を代表とする数多くの人気シリーズほか、大家も期待の若手作家も、時代小説も現代小説も推理小説も、今の小説界がここに盛り込まれている、と断言できます。また、旅行、食べ物、教養、人物評伝など「讀物」も満載、活字における娯楽の愉しみを今後も追求していきます。

 7月19日に決定した芥川賞・直木賞。世間の耳目を集める文学賞を受賞した作家は、どんな日々を送っているのか。「オール讀物」9月号では直木賞を受賞した荻原浩さんを特集。本誌に先立ち、密着した編集者が取材余話を披露する。

「一篇一篇が記憶に残る」と、短篇での確かな筆致が評価され直木賞を受賞した荻原さん。海辺の理髪店主のモノローグから、意外なラストへと展開する表題作の「海の見える理髪店」など、受賞作では、さまざま家族の物語を鮮やかに描いています。

受賞の報を受けて、芥川賞を受賞した村田沙耶香さんとともに登場

 オール讀物の直木賞受賞記念グラビアページでは、著者にゆかりのある土地で撮影を行うのが恒例企画。お仕事場、そして記者会見でも話題になった家庭菜園にお邪魔することになりました。

 家庭菜園は、ご自宅の庭のほとんどを埋め尽くすほどで、まさに壮観の一言。撮影のために収穫を待っていただいたトマト、ナスをはじめ、キュウリ、メロン、スイカなどを栽培しています。撮影の前日には、キュウリがとれたと聞き、カメラマンが「もし、まだお宅にあったら撮影させてください」とお願いすると、その日のうちに「冷やし中華で食べちゃった」とのお答えが奥様から。折しも撮影前日は、三十五度を超す猛暑日。とりたてのキュウリで食べる冷やし中華は、さぞおいしかったことでしょう。

「ほんとうは、いつも、もっとたくさんあるんですよ」と残念がりながら、その日にとれたみずみずしいトマトと、かわいらしいメロンを手に撮影。野菜を見る目は、輝いていました。

テラスでも育てています
収穫スタイルが板についています

 ひきつづきお仕事場へ。最初に目についたのが、なんとマンガの原稿。子どもの頃から、絵は得意。毎日新聞では「極小農園日記」というエッセイに、毎回直筆イラストを掲載していたほどとのこと。ただ、マンガは、勝手が少し違うようで……。

「いちから、いろいろと勉強して描いています。いま、一番熱中していることかもしれませんね」とのこと。執筆するパソコンのそばに貼られた小説の設定表には、登場人物たちの直筆のイラストも……。

持参のはっぴにサインが入りました

 そして、もう一つ、荻原さんが好きなものが。それは、阪神タイガース。直木賞記念号恒例の受賞記念対談は、前阪神タイガース監督の和田豊さんにご登場いただきました。

 対談当日、こころもち緊張した表情で登場した荻原さん。撮影が始まると、おもむろに取り出したのは黄色いはっぴと鉢巻。背中には、咆吼する虎が。

「サインしていただけますか」と一ファンの顔になった荻原さんと、快くサインする和田さんの対談は和やかにスタートしました。

人気作家からファンの顔に

 受賞作を二度読んだという和田さんは、「小説の話をもっと話したかった」と語るほど、受賞作を読み込んで登場。穏やかなお二人が隠し持つ、気骨が垣間見えて、小説と野球、静かに燃えるそれぞれのプロとしての心意気が言葉の端々から伝わってきました。

 対談が終わった後も、今のチーム状況や、これから注目の選手など、二人の話は尽きませんでした。

オール讀物 2016年9月号

特別定価:1,000円(税込) 発売日:2016年08月22日

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