オール讀物・担当編集者は語る

何はともあれ時代小説!目利きの書店員はどう読んだ? 歴代受賞者、朝井まかて×澤田瞳子対談もあり

プロフィール

おーるよみもの/創刊以来、常にエンターテインメント小説の最前線を追いかけ続けてきた小説雑誌です。年に2度、全国の小説ファンが注目する直木賞も本誌で発表されます。戦前の「銭形平次」をはじめとして、池波正太郎さんの「鬼平犯科帳」、今現在では平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」を代表とする数多くの人気シリーズほか、大家も期待の若手作家も、時代小説も現代小説も推理小説も、今の小説界がここに盛り込まれている、と断言できます。また、旅行、食べ物、教養、人物評伝など「讀物」も満載、活字における娯楽の愉しみを今後も追求していきます。

「時代小説 大収穫祭」と銘打ったオール讀物12月号。その目玉は、「本屋が選ぶ時代小説大賞」の発表です。開催は今年で6回目となり、この賞に選ばれたことが本の帯の宣伝文句となるなど、注目度も高まっています。今号では、受賞作決定にいたるまでの、書店員さんの座談会の模様を掲載しています。

 今回候補となった作品は、

垣根涼介『室町無頼』
梶よう子『ヨイ豊』
門井慶喜『ゆけ、おりょう』
木下昌輝『戦国24時 さいごの刻(とき)』
簑輪諒『くせものの譜』

の5作品。文芸評論家の縄田一男氏と末國善己氏に1年間で読んだ本の中から「コレゾ」という10作品をあげて頂き、その中から編集部で5作品を選びました。

 

 これら候補作の中から1作を選ぶのは、年代や性別、地域や担当するジャンルも異なる、目利きの書店員5人です。座談会ではまず、各書店員さんに1位~5位のランキングを決めてもらいましたが、ばらつきが大きく、想像以上の大混戦になりました。

 座談会は「雑誌に連載されているときから注目していた!」、「初めてこの作者を人に勧めるのはこの作品でいいのか」など、それぞれの候補作への想いで議論が白熱し、あっという間に2時間が過ぎていました。

 また、読者と接する機会の多い書店員さんならではの視点に、編集部も気付かされることばかりでした。例えば、ふだん時代小説を読まない人に買ってもらうための工夫、佐伯泰英さんや高田郁さんなど、書き下ろしの文庫で時代小説の裾野が広がった後に読者に何を勧めるのがよいのか、また、最近多くみられるライトノベル風のイラスト表紙に対するお客さんの反応など、現場の声を聞くことができました。

 受賞した垣根涼介さんのインタビューも必読です。「人の命が馬糞のように軽い」室町時代と現代社会の共通点は何か、喜びの声とともにご一読ください。

 

 そして、もうひとつの目玉は、「本屋が選ぶ時代小説大賞」の歴代受賞者、朝井まかてさんと澤田瞳子さんの対談です。澤田さんは第2回目(2012年)に『満つる月の如し 仏師・定朝』で、朝井さんは第3回目(13年)『恋歌』で同賞を受賞されています。

 実はこちらの対談、お2人がお住まいの関西の書店員さんをお招きして行いました。

 対談の最後には、書店員さんからお2人への質問コーナーも。作家の執筆の苦労を間近で聞き、それを「売る」ことに結び付けるにはどうすればよいか、と熱心にお2人に相談していました。

「サイン本って作ってしまうと返品できなくなってしまうでしょう。だから書いていいかどうか迷うのよね」と言うお2人に「ぜひいつでもお店にいらして、バックヤードに声をかけてください!」と答える書店員さん。対談は終始なごやかな雰囲気でした。

 師走の忙しい日々ですが、ぜひオール讀物をご覧になって、時代小説の世界を堪能してください。

対談に集まった大阪の書店員さんと。前列左が澤田さん、右が朝井さん

 

オール讀物 2016年12月号

定価:980円(税込) 発売日:2016年11月22日

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